粉瘤(アテローム)は、 日常診療においてとてもよくお見かけする 「できもの」です。
・ 黒い孔(臍)がある(約40%の方に認められます)
・ 皮膚の色、 または青っぽい色の丸いしこりが触知される
・ くさい臭いがする
・ 急に腫れて大きくなった、 痛みがある
このような症状があったら、粉瘤かもしれません。
粉瘤ができてしまったら、早くとってしまう方が良いのか迷いますよね🥺。
数ミリの段階で受診される方もいらっしゃれば、 数十年も放置して粉瘤が10センチ以上になってから受診される方もいらっしゃいます。 粉瘤が腫れてきたところで急いで受診される方もいらっしゃったりと、 患者様が受診に来られるタイミングは 実にさまざまです。
形成外科医として、 どのタイミングの受診をおすすめするかについて
「傷跡を早く、 きれいに治すために大切なこと」という観点でお答えします。
1. 小さいうちに切除する
粉瘤は良性腫瘍ですが、 一度できてしまったらなくなることはありません。
腫瘍の大きさはしばらく変わらないこともありますが、 時間の経過とともに大きくなるものもあります。粉瘤が大きく育ってから切除すると、小さいうちなら5mm程度の切開で済むはずの傷跡が、1.5センチになったりと傷跡の負担も大きくなってしまいます。 大きくなった粉瘤が炎症をおこして腫れ上がったときは、 さらに大きくなるので尚更です。
特に、 顔や首など目立つ部位は、早めの切除をおすすめします。
2. 何度も炎症を繰り返すまで放置しない
殿部、背部、デリケートゾーンなど圧迫を受けやすい部分は、炎症を起こしやすい部位です。
たまに腫れるけれど、 しばらくすれば炎症は引いていくから放置しても変わらない、 と思われるかもしれません。
ですが、 炎症をくり返すことで周囲の組織にはダメージが積み重なります。
腫れている期間だけ我慢すれば済むように思われるかもしれませんが、 傷跡に関することはもちろん、 再発率のことを考えても早めの受診のほうがよい結果につながりやすいです。
以上の2つがとても大切です。
そのほかにも 注意して頂きたいことが、 もう一つあります。 腫れてくると気になって、 こうすればとりあえずはおさまると思ってしまいがちです。
3. ご自身で内容物を絞り出さないこと
定期的に粉瘤の内容物を絞り出している方が時々いらっしゃいます。 これをすると、 粉瘤の袋(嚢腫壁)が周囲の組織に癒着するようになってしまいます。その結果、 くり抜き法など小切開(小さい傷)による切除が難しくなり、 傷跡リスクも大きくなってしまいます。
粉瘤は内容物を絞りだすだけでは治りません。一時的には小さくなりますが、袋(嚢腫壁)が腫瘍の本体ですから、袋が残っているとまた大きくなってきます。
粉瘤の治療法は 「手術」です。
手術と聞かれると、「術後痛むのではないか」、「手術中も痛いのだろうか」と心配ですよね。
当院では、すべての手術を形成外科専門医が担当しますのでご安心ください。
迅速で丁寧な手術を心がけており、 サイズや状態にもよりますが手術時間は平均で 5分 〜 15分ほどです。
「もう終わったんですか」、 「こんなだったらもっと早く切除しておけばよかった」というお声を頂戴することも少なくありません。
他処の皮膚科様からご紹介いただくことも多いです。
粉瘤はこじらせないうちに、 お早めにご相談くださいね。